非実在の王国で

山より軽く羽根より重い

アニメの話しかしてない

今期のアニメ、今のところ続き物以外は中ヒットくらいのものが続いていて、ふうんという感じ。映像研やゴジラSP見た時のわわわわわ絶対好き!!!!という感じや、sonny boy見た時のなにこれ?!という感じや、シャドーハウスやかげきしょうじょ!を見た時の絶対面白いに違いない!というテンションになる大ヒットがない感じがする。
今のところ楽しみに観ようと思ってるのは無職転生かなあ。
あれ、ストーリーが朧げになってきてるんだけど(私の頭の中で)、キャラクターの魅力でぐいぐい見られるのがすごいなーと思う。女の子みんな可愛いしな。
2期一話で最愛と呼んでいいキャラクターが出てきたので今後もたのしみ。
あ、吸血鬼よく死ぬも楽しみや。
あとはブルーピリオドと王様ランキングを見なきゃ。
なんか面白いのあったら教えてちゃぶ台。
境界戦記は録画しといた方が良かった気がしてる。


サクガン、今期の色頑張ってるアニメはこれやなと見定めて鑑賞する。
みんな蛍光材の付いた作業服着てて、その蛍光材の質感にいーいですね!となる。
夜明け告げるルーのうたのライフジャケットの蛍光剤とかもそうなんだけど、蛍光のものでない媒体で蛍光のものを表現するの見るとやはりいーいですね!と思う。
アニメーションとかはもちろん、CMYKでやられると痺れてしまう。
しかし、明度の低い中に明るい緑みの黄色に黄緑の影を描くだけだと思うのに、自分でやるとなるとなんでか知らんがむずかしい。
色彩設計の脳が欲しい。


サクガンもだけど、今期は作画に力を入れよう、というアニメが多いように見える。
takt op.Destinyとかライカとか。無職転生もね。
takt op.DestinyはMADとMAPPAなのかー。そりゃ絵が良いはずだわー。と思う。
MAPPAといえば夏アニメのRE-MAIN、free!ユーリ!!! on ICE、最近だとSK∞みたいな方向性のアニメなんやろなと思って見始めたら全然違ってわろた。
美形が一人もいない感じがいいですね。いかに競技に打ち込むか、が一番のテーマじゃないのがよかった。
若干芋くさいのもご愛嬌。私服みんなダサいし。
しかしMAPPAアニメであるのに、あの画面の洗練されてなさはどうであろうか。
MAPPAも全てのアニメを丁寧に作れる時期は終わったということ?それとも他にもこういうのはあったのかな。

MAPPAといえばいつだかタイソウザムライというアニメをやっていて、私は好きだったんだけどTwitterとかで観測するにあんま盛り上がってないようだった。
すごい地味なアニメやったからかな。
ストーリーも地味だし、登場人物もすごくキャッチーというわけではなかったからか?
でも丁寧な話作りだったし、画面も良かった。キャラクターだってキャッチーではない(というと好きな人にぶっ飛ばされるな)だけで魅力的ではあったんだけど。
良かったんだけどなあ。


あとアクダマドライブの話もしとこうかな。
始まった時はあーこういう胡散臭い系のSFで、ダンガンロンパフォロワーみたいな感じっしょ?(実際キャラクター原案が小松崎類だった)と思って一話見てフフンと思ってしばらく見てなかったらめっちゃ面白くなっとった。
どう面白かったん?と訊かれたらダンガンロンパみたいで面白かったというしかないんだけど、やはりこれもキャラもので、キャラの魅力でぐいぐい見てしまえるのだった。
あと伏線の回収がきれい。
めちゃくちゃ正当なフォロワー作品という感じ。
もしかしたら脚本にダンガンロンパの人が関わってるのか?


あと脅威の作画アニメワンダーエッグプライオリティの、主に色で感動した部分とかを話したいのだけど、文字数がアレなのでおしまいにします。

チューニングの音が聞きたい。

忌まわしい過去の中に、わずかに光るものがあった。何かというと、王舟とoono yuukiとAlfred beach sandalの自主版が発掘されたのであった。
ああ忘れていた。こんなにいいもの。
忌まわしい過去というのは、かつての恋人と駆け抜けたライブ巡りの旅のことで、これを忌まわしい過去と呼ぶのはなかなかに辛いものがあるけれど、思い出したくないのは本当のことなので、記憶の中から恋人を消して、きらきらしたライブを見た記憶だけを取り出せるようにならないかしらと思うばかり。

ライブといえば、どうしてフードがカレーであることが多いのでしょうね。
簡単に作れるから?美味しいから?
どうであろうとライブを見ながら食べるカレーは美味い。
コークハイがあるとなお。

そう、何かというとライブに行きたい。
最近は新しい人を発掘していたり、ライブ情報をまめにチェックしていないので、誰のライブに行きたいの、と言われると言い淀むのだけど、なんとなく京都のUrBANGUILDに行きたいから、ライブハウス行きたさにライブを選んでもいいかもしれない。
調べたらこのコロナ禍の中でも、休業要請や時短要請に負けずに営業しているよう。そらそうか。頑張ってください。
えっていうか20日もぐらが一周するまでの人がメンバーのユニット?バンド?がやるじゃないですか。チケットも安いし。しかし時間が。9時までか。途中で切り上げて帰る…?
えーどうしよう…。本とかCDの買取価格がえらいことになってたら行こうかな。


指が痛くてペンが持てないので、漫画に使うための台詞を延々と作る作業をしている。
小難しい、なにを言ってるのかわからないような故事ことわざを繰り出すキャラクターなので、下調べしないと書けないのだ。
故事辞典を繰りながら、なんとなくなにを言っているのか分かる故事と、もう全くわからない故事とをピックアップする。
大変だけど、割合楽しい。

あと、趣味でシェイクスピアの戯曲の台詞を噛み砕いて入れたりもする。
こうすることで、素のままなんとなく拗れたキャラクター…とだけ決めて描いてるのに、手放しだと異様にカマトトぶったかわいい子になろうとするのにブレーキがかかり、立派に自分に自信のない卑屈な捻くれ者が出来上がる。
キャラが立つとはこういうことか。

やってて面白かったのが、改変する戯曲の台詞を組み込んだ途端ものすごいひねくれ者になっていくことだった。
思えばシェイクスピアの戯曲で面白い台詞を言うのって、大抵情緒に問題のあるやつばっかりだ。
夏の夜の夢はオーベロンがいないとお話にならないし、リア王にはちょっと落ち着いて欲しいし、ハムレットに至っては鬱屈したにせ気狂いが舞台の全てを占めている。
おかしなキャラクターにならない方がおかしい。

キャラクターを作るのに、自分の中にある要素以外の情報を足すとみんな同じにならなくていいのかもしれない。
まあ今やってるのはコラージュ的すぎるし、なんか小賢しい気もするが。


ともあれライブ。どうしようかな。
行きたいな。
久しぶりに始まる前のチューニングの音が聞きたい。

処分処分

仕事の後、着替えていたら上っ張りにシャツが引っかかって、大きく腹を露出した。
それを隣にいたおばさんに目撃されたのだけど、おばさんは私の肩を引っ叩きながら、痩せや!と叫んだ。私もそう思う。
でも一つ弁解したいのは、確かに私の腹には今肉が乗っていて、それで腹が出ているのも確かなのだけど、そもそも私の背骨はS字状に湾曲していて、たとえ痩せていても、やっぱりどうしても腹は出るのだ。

まあそんな事をぐだぐだ言ったところで、今は肉のせいで出っ張っているので、言い訳にもならない。


CD棚と本棚の整理を敢行した。
小さい本棚をCD棚にしていて、何枚くらいあったんだろう。500枚くらい?
本当に大事なものだけ選り分けて、あとはもうほとんど目を瞑ったまま突っ込むような要領で、とにかく段ボールに詰めていくという大雑把で後から必ず後悔するようなやり方をとった。
だってそうでもしなきゃ、スペースを作ることができない。本棚とCD棚のスペースを駆使して収納するパズルももう限界に来ている。
こうするほかないのだ。

処分する目安として、「これ隠されても絶対気付かんな」というやつを選んだ。
主に勘で買った、外国のCD。よかったやつは覚えてるもんな。これで結構減った。
あとは情報を追いかけなくなったアーティスト。これも沢山あった。
段ボールに詰めながら、あの頃「これは絶対一生好きだな」と思ったアーティストへの情熱は案外冷めてしまうのだなということに、ある時期熱狂的に好きだったアーティストのCDを収めながら思う。
高校時代に出会ってこんな音楽があるんだ?!と個人的なエポックメイキングになったアーティストでさえ、今となっては売るもの箱に突っ込める。
いや、今でも曲を聴いたら好きなんだけど、足繁くライブに通ったり、参加したコンピレーションは全て買うような情熱は、CDを大事にしまっておこうという情熱でさえ無くなってしまっていた。
かなり寂しいことのように思う。
今好きなミュージシャンもそうなるのだろうか。そこそこに愛していれば長続きするなんてことありませんかね。
(ただまあ、一生好きの予感が的中するアーティストも沢山いそうにはいそう。)(私oono yuukiは多分一生好き。)

漫画の本の本も同じく処分。
している最中、宝石の国の天を見て、一巻と十巻とで色にあまり変わりがないことに気付く。焼けていない?なぜ?ゴールデンカムイなんか、グラデーションに焼けてるのに。
酸性紙を使っていない?コミックスでそんなお金のかかりそうな事するかな。
ダンジョン飯もよく見たら、一巻二巻だけが僅かに焼けていて、後のコンディションはとてもいい。
なんでだろ。私の保管の仕方が素晴らしいのか?
ともあれ漫画の小口は焼けていないのが好ましい。
みんなワイド版みたいな紙を使えばいいと思う。
すべての本を焼けから解放せよ。

厄介なおじさんオーラ

ぼちぼち眠たいが、いつもの地獄みたいな眠気に比べると比べるとだいぶ緩やかな眠気。
なぜなら昼に炭水化物を取るのをやめたから。
いつも食べてるスパゲティを食べなかっただけでこんなに違うのね。
しかし昼も炭水化物を摂らないとなると、一体いつ摂るのか。朝?
そもそも炭水化物って摂らなきゃいけないものなのなんだろうか。
炭水化物が美味しいものに含まれていることはよく知ってる。昨日久しぶりにご飯が食べたくて近所のスーパーの美味しいカツ丼買って食べたら、頭がジーンとした。
そんな風に油断気味でいたら、あっという間にリバウンドの影が差した。
いけないいけない。どらもっちとか食べてる場合じゃなかった。
そういう訳で昼も炭水化物を暫く控えることにしたのだった。

指をいわして一週間経つ。
痛みは引いてはきているけど、まだいろんな動作に支障がある。
蛇口とペットボトルとドアノブがいけない。
あと片手で500ml以上のペットボトルないし、牛乳パックが持てない。
仕事もまだ左手主体にでしか出来ない。とても不便。

持とうと思えば無理矢理ペンが持てることに気付いたので、何か描かんとしたが、何かの瞬間に嫌な痛みが走る。
仕上がりも雑。(これは怪我のせいかどうかはわからないが。)
ハーン。夜、絵を描かないととにかく暇。
はよ治ってくれ。


そういえば前の日記で好きな人の話をすると言ったのでします。
オモコロの原宿さんの話なのだけど、ふざけと厨二病センスに最初は笑っているだけだったんだけど、言葉の端々にかしこが混ざっていて、ふーん頭いいんやと思って、最近は端々に匂い立つ、厄介なおじさんオーラに痺れています。
あれ、地なんかネタなんかわからんくていいですね。
半分半分なのかな。実にスリリングと思います。
最近桃色核実験の管理人だったと知って、なんかめちゃくちゃに腑に落ちだのだった。
見にいってたわ…。加護ちゃんの激動の人生に思うところはやっぱりあったんやろか。
関係ないけど今の髪型が好きなので、ずっとこれでいてほしい。


個人サイトという文化がもう廃れに廃れてしまったのだけど、あの頃はよかったなと思わないでもない。
私はネット下手であるので、NOW面白い人を探し当てる能力が低く、昔であるならセンスのいい人がセンスのいい人をリンクしていたりしておこぼれに預かっていたものだった。
絵にしてもそうで、特にプロのイラストレーターを漁ることができたのも、あのシステムに依るところが大きい。
原田たけひとが好きでね…。あの独特のプロポーションととにかく可愛い顔が。
FGOで担当したの2キャラとも引けた時は嬉しかったな。
白黒紅白キャラは一人も引けない。悲しい。

あの頃イラストレーターを知るのに、どういう媒体に触れていたらよかったんだろうか。
パッと思いつくのはラノベとゲームだろうか。
ゲームはハードがなかったし、ラノベは読んだのがスレイヤーズと魔術師オーフェンキノの旅ブギーポップは笑わないだけだった。
今はソシャゲとかブラウザゲーやってたら、向こうから飛び込んでくるのでいいですね。
最近の塗りやデフォルメなんか知りたかったら、ラノベの表紙見るより効率的かも。

でもFGOはなんか全体的にソシャゲ文脈じゃない人の方が多い気がする。
ナウな雰囲気の絵を描く人、今パッと思いつく限りmika pikazoさんしか思いつかない。(あくまでパッとね。他にもいるとは思う。)(概念礼装描いてる人ならたくさんいるな)
高橋慶太郎とか海野チカとかぶっ込んでくる独特のセンスが同人ゲームっぽさを醸し出している理由だろうか。
嫌いじゃなくてよ。

個人的に今、18から24歳くらいまでの人たちがどんな絵を描いてるのか知りたいんだけど、それってどうしたら知れるんかな。


本当に大事なものだけ残して、あとは売る作戦を開始した。
とりあえず本。買取王子から箱を想定される量より一箱多く貰って、無理矢理にでも本を減らす作戦。
人体に必要なように見えて、切除してしまっても差し支えない部位があるように、大事なつもりでそうでもなくなってしまったやつがあるはずや。
そう思ってほぼヤケクソ気味に詰めたがまだたくさんある。なにがそんなにあるんや。
なんかもうわからんから、誰か私の留守の間に盗んでくれんやろか。あるいはボーイズ、私ん家に火を放て。
漫画はともかくとして美術本が頑として減らん。
この辺の解決策を考えねばなるまい。

CDの方は一応選別したから、あとはユニオンから箱が届くのを待つだけよ。
いくらになるかな。一万超えてたら、高い牛肉焼いて食べるんや。

猫がいなくなるのは悲しい

発狂したので日記を消した。
読まれた分は記憶が消せるわけでもないから仕方ないが、これから読まれることについては未然に防げるのでいい考えだと思う。
ちゃんと構成を考えて書いたフィクションだけは残した。なぜなら私が読み返したいから。

CDや本類を、よほど大事にしているもの以外は売り払おうと決意する。
私の部屋は6畳なのだけど、本棚が5個あって、おそらくこの広さの部屋に住む者としては、馬鹿みたいな量の本と暮らしているのだと思う。
本が増えなければ、別に構わないのだけど、日々本は増えていくばかり。
今にも溢れてしまいそうなので、もうそろそろ手を打たねばならない。
私の本棚で、何が一番多いかというとまず漫画本、次いで美術関係の大判本、次いで文庫本という感じか。
整理するために売るのだから、値段を気にするのはナンセンスだという気もするが、こちらも人間、まして貧乏人(中くらいの)、気になってしまうのは人情というもの。
漫画本は新しければそこそこの値で買い取ってもらえるが、美術本はカスみたいな値段、文庫本に至ってはゴミ以下の値段でしか売れないことは分かっている。
そうなってくると、急に売るのが惜しくなる。
いい本なのに、カスみたいな値でしか買い取られないのなら、いっそ持っていた方がいいのでは…。
特に展覧会の図録関係がよろしくない。
あれ、買い取られる時はカスみたいな値段なのに、売られる時は妙に高いのだ。絶版になりやすいからか?なら買う時も色をつけて欲しい。
BOOKOFFみたいに買値もカス、売値もカスであるなら納得できるのだけど、ああも開きがあると売る気が失せる。
売る気が失せると、本棚を占拠し続ける。結局断捨離できない。振り出しへ戻る。

本当に価値通り売値をつけて欲しいと思えば、各専門の古書店なりに当たるのがいいに決まっているのだけど、そんな事はほとんど不可能だ。
今日は美術専門店、明日は文芸専門店。交通費も馬鹿にならないし本末転倒しかねない。
その点では専門店であり宅配買取をしてくれる、ディスクユニオンってすごい。
レコードのマニアの人の感覚はわからないが、CDしか売らない私にとっては、いつも予想以上の値段を付けてくれる。
前回は二箱で六万円だった。何がそんなに高かったのはわからないが、とにかく六万円だった。
お陰でCDの方は整理が捗る捗る。
五万以上の買取額で、さらに一万上乗せしてあげるという訳の分からないキャンペーンをしてることもあるし。
ずっとそのままでいてほしい。

整理をしていると、卒業アルバム現象が起こる。
要は整理している対象に気を取られて、整理が進まなくなる現象のことだ。
そうしたわけで、今内田百閒の「ノラや」を読んでいる。
この本、裏表紙の解説には「あわれにもおかしく、情愛と既知とに満ちた愉快な連作」とあるのだけど、どうしてどうして、涙なしには読めない。
これはいなくなった飼い猫を、あの手この手で探し当てようと思いつくことは全部やり、帰ってこない猫を想って毎日泣き暮らす百鬼園先生の随筆なんだけど、その愛情と喪失に、読んでいるものの胸が締め付けられる。
猫がいなくなるのは悲しい。それが例え明治から昭和を駆け抜けた、ずいぶん昔の作家の猫でもだ。
私の昔飼っていた猫も、具合が悪くなってしまい連日ストーブの前で蹲っていた最中、忽然といなくなった。
ああも具合が悪い中、外に出て行ってしまったのは死に場所を求めてのことに違いないとは思ったのだけど、こちらは遺骸を見ていないので、なにか奇跡が起きて、優しい人の手で病気を治し、飼い猫として暮らしているのではないかと想像して暫く暮らしたものだった。
やっぱり裏表紙の解説間違ってると思うで。

ここ最近、かなり不愉快な目にあったのだけど、それを書くと殺伐するので、好きな人の話をします。
と思ったのだけど、もう文字数も大概なのでそれはまた次に。
あ、恋愛関係の話ではないですよ。
好きな芸能人(みたいなもん)の話です。

日記なのかフィクションなのか

電車で隣に香水をつけている女子大生が立ったので、私は声に出せない代わりに「くっっっせえええ!!」と心の中で繰り返し叫んでいた。
私は嗅覚過敏の民であるので、香水というものは押し並べて臭く感じてしまう。ドルガバの香水だろうがバラの香水であろうがそれは変わらない。
知らず知らず垂れてくる鼻水をティッシュで抑えながら、だから電車には乗りたくないんだよな、と思った。

乗りたくない電車に乗ってどこへ行くのかというと、つまらない事に病院である。
二週間に一度、報告と薬をもらうため、部屋から3駅のクリニックまで行く。
私の頭は中学生の頃にぶっ壊れて以来、定期的なメンテナンスを必要としているのである。

電車を降り、病院に向かう。病院は徒歩5分なので微妙に遠い。
通りがかったすき家の垂れ幕に、ねぎ塩レモン牛丼弁当の文字を見つけて心の中で涎を垂らす。
そういや昼ご飯を、食べずに来てしまった。

白い真四角な、角砂糖のような建物が目指す病院である。
待合室には人が誰もおらず、これなら予約時間を繰り下げて見てもらえるかもな、と診察券を軽やかに出して椅子へ座る。
まあすぐ呼ばれるだろうけど、と、鞄からロジックツリーという漫画本を取り出して読みだす。

しかし待てど暮らせど呼ばれない。あれおっかしいなと時計を見ると予約の時間も過ぎている。
えー?と思いながらもう一度ロジックツリーを初めから読む。
半ばまで読んだところで、診察室のドアが開き、親子連れと思しき患者が出てくるのだった。
おったんかい!!!!!!!!!!とやはり心の中で叫ぶ。心が狭いとは思うが、40分くらい待たされてもいるので仕方ないと思う。
それから名前はすぐに呼ばれた。

「具合はどうですか」
眼鏡をかけた医師が表情を変えずに言う。
ぱっと見かなり愛想が悪いが、ここに通いはじめて5年にはなるので、もう気にならなくなっている。
「なんか、何もない感じがしますね」
私が言うと、医師は眼鏡を直した。
「憂鬱な気分であるとか?」
「いえ」
「食欲や睡眠は?」
「よく食べますし、よく眠れます」
「意欲や興味は」
「ない気がしますね…最近まで漫画を描いていたのですが、ぱたっと手が止まってしまいました。」
ふんふんふんと医師は納得したようにひとりで頷いた。
「何かうまくできないことはないですか?」
「…そういや頭が鈍くて、どの雑巾でどこを拭けばいいのか一瞬わからなくて困りますね。」
「わかりました、鬱状態になってますね。」
鬱状態か〜〜〜〜〜、とぐったりする。では次も二週間後の水曜日でよろしいですか、と医師が言う。
大丈夫です、ありがとうございますと言って立ち上がろうとしたら医師が徐に「どんな漫画描いてるんですか?」と訊いてきた。
私は虚を付かれて、たどたどしく「なんか…よくわからない…テンションの低いモヤっとした…」と、自己紹介のような言葉を捻り出した。

病院を出て、相変わらずお腹が減っていたので、さっきのすき家まで行こうかと思ったが、そこまで我慢できなかったので、ちょうど駅と病院の真ん中ほどにあるコメダ珈琲に行く事にした。
とりあえずハンバーガーを食べようと、それとミルクコーヒーを頼んで、頭をオフにする。
頭をオフにしてしまうと、周りの流れが異様に早くなるので、すぐにハンバーガーがくる。
コメダハンバーガーは視覚的な衝撃があり、これ食べられるのかな、と一瞬怯むが、サトゥルヌすように喰らって仕舞えばすぐに食べ終わる。
ミルクコーヒーは甘くすれば甘いほど美味い。

そういや京都芸術センターの前田珈琲の前田のアイミ、おいしかったなー。あれとカレーと一緒に食べたい。
カレー食べたいな。少し前までは毎日食べてたのに。
また図書館に行かなければ。近所の図書館はキーマカレービーフカレーかバターチキンカレーかのどれかから選べるのだ。
無駄にメニューが豊富なのだ。

そうして思考をスライド、スライドしていくうちに駅へ行き着く。
一仕事終えた帰りの電車は心静かに過ごせる。
しばらくぼんやり揺られていたが、ある瞬間ハッとした。
調剤薬局行ってない。
「アーーーーーーーーーー」
今日何度目の心の叫びだろうか。
叫んでも仕方がない、次の駅で降りて逆方向の電車を待つ。
用事が終わらない。辛すぎる。徒労感に苛まれていると電車がくる。
ドアが開くと果たして、香水がいるのであった。

早良と鯨(BL風の何か)

鯨くんにキッチンで具なしパスタを貪っていたところを目撃された。
鯨くんは「もっと栄養のあるものを食べなよ」と呆れ顔で言ったが、「ぼくは滋養のあるものなんか食べられる身分にないんだ」と決然として言い放った。
すると「その身分になりたかったら」一呼吸置いて「働けばいいだけなんだよなあ」と鯨くんはため息をついた。

僕らは同じシェアハウスに暮らしていて、鯨くんは就職浪人で、安い住まいに暮らしながら職を探しており、ぼくはと言えば実家に居づらくなって、家を飛び出し、貯金と短期バイトで食い繋ぎながらここにいる。

ぼくらは馬が合って、というよりは、ぼくが一方的に彼に懐く形で友人関係を築いていた。
たびたびぼくは彼の部屋に行き、たまの贅沢とビールを喰らっては酔い潰れ彼のベッドを占領し、しょっちゅう記憶を無くしては、部屋に被害がなかったか確認するというルーチンをこなしていた。
なんでこの人愛想を尽かさないのかな、と不思議だったが、ぼくには都合がいいことだったので、毎度の罪を胸にそっと仕舞い込むのだった。


そんな日々がいつまでも続くような錯覚を抱いていたが、鯨くんは勤勉であったので、さくりと仕事を見つけてしまい、シェアハウスから退去する事になってしまった。
ぼくは彼が唯一の友人だったので、たとえここを出て行っても何かしら理由をつけて遊んでもらうべく、これまで同じ家に住んでるんだからいいやと聞きもしなかったLINEを交換し、何かお祝いがしたいからと鍋料理屋に彼を誘い出した。

「悪いね、君にご馳走になるとは思わなかった」
鯨くんはへらりと笑った。
「いいんだお祝いなんだから。でもこのためにぼくが、普段しない力仕事のバイトをしてきたことは忘れないでいてくれ。こうしている今も筋肉が軋みを上げているんだ」
「やな恩の着せ方をするなあ。」
やがて鍋の支度が整い、ふつふつと茹だつ出汁がいい匂いをぷんと立てた頃、鯨くんは静かに言った。
「早良くんさ、俺のことすごい好きだけどなんで?」
訊かれて思わずむせる。なんと誤魔化そうかと考えたが、何も思いつかなかったので正直に言う事にした。
「…うち父親が10歳の頃に亡くなっててさ、ぼくは父さんが大好きだったから、すごく悲しかったんだけど、母さんは一年くらいで再婚して。しかも相手が叔父さんで、受け止めきれなくて」
「それはまた…」
「すごく気不味くてさ、別に悪い人じゃないんだけど。でも悶々とするうちに、こんなに早く結婚するって言うことは、もしかしたら父さんの生きてた頃から何かあったんじゃないかと思い始めて。そしたらもう、二人の顔が見られなくなって…、本当の父さんのことばかり思い出すようになって」
そこまで言うと声が詰まる。続きを言うのを躊躇っていると、鯨くんが問いかけてきた。
「その話とおれとが、どう繋がるの?」
観念して言葉を継ぐ。
「気持ち悪いと思うんだけどさ、気持ち悪くて悪いんだけど、鯨くん、どこか父さんに似てるんだ。顔とか声じゃなくて、何か。一緒にいると嬉しいから、つい馴れ馴れしくしてしまった。…気持ち悪いだろ?」
「…いや、確かに幼いなとは思うけど、理由としては分からなくはないよ。複雑だったんだ。…家を飛び出してきたのもそれが理由?」
「そう、本当に幼稚で嫌になるけれど」
煮立った鍋を前に、食べなきゃね、と鯨くんが手際よく具を取り分ける。取り分けながら鯨くんは事も無げに呟いた。
「おれはね、ゲイなの」
突然の告白にぽかんとする。
「ひいた?」
「や、そんな事はないけど。」
「おれはね、もしかしたら君もそうなのかもしれないと思ったの。」
鯨くんはなんとも言えない表情をしていて、ぼくはなんとなくばつの悪い気持ちがした。
「…もしかして君は、ぼくが好きだった?あまりべたべたしたものだから…」
そう言うと鯨くんはけらけら笑った。
「まさか、そんな訳ないよ。だいたいおれは君みたいのじゃなくて、真面目で清潔感のある人が好きなんだ」
「ぼくは不真面目で不潔だということか」
ぼくがそう言うと、鯨くんはさらに笑って
「そうは言わないけどさ、ああおかしい。もしね、君がそうでおれを好きなら、やんわりお別れを言わなくちゃと思ってたし、もし君もそうだってだけなら色々相談に乗って欲しいなって思ったんだよ。」
と言った。
「ははあ、そういう事か。」
納得しつつ、一つの疑問が湧く。
「それってさ、ぼくがゲイじゃなかったら友達じゃなくなるって事?ぼくはかなり深く君を友達と思ってるからお別れになるのは嫌なんだけど」
「実のところ考えてなかった。どっちかだと思ってたからね。そうだなあ…」
鯨くんが軽く上を向き、考える仕草をした。
「なら、現状維持って事でいいんじゃないかな。」
「本当に?!」
思わず大きい声が出る。我に帰りあたりを見回したが特に誰も気にしていなかった。
緊張が解けたぼくは多分その日一番くらいに笑って、鍋を食い酒を喰らい、例の如く酔い潰れて鯨くんに引き摺られて帰った。


そういう訳でぼくらの友情は継続する事になった。
鯨くんは忙しいので、以前のようには会えなくなってしまったが、土曜や日曜に会う約束を取り付けることができたのでぼくは嬉しかった。
嬉しかったが、あまりに都合を付けてくれるので、君は友達がいないのか、と訊くと、一緒にするなという返事が返ってきた。手厳しいことだ。
それに鯨くんはぼくがふらふらしてる事を重大に考えるようになり、職業訓練や就職支援の講座なんかのチラシを大量に持って来るようになった。
初めはぼくものらりくらりとかわしていたが、実の家族以上の熱意で世話を焼こうとしてくる彼に根負けをする形で、初めてまともな就職活動をするに至った。

「今週はどうだった?」
「事務仕事を2社受けたけどどうかな。受かる気はあまりしないね。」
「ま、駄目でも気にしないことだよ。報われるときは報われるから。」
さして気にもかけないように、足の爪を切りながら鯨くんは言う。
鯨くんの新しい家でぼくらはぶつくさ話をしていた。
「そうだろうか。果てしない気がするけれど。実のところ最近、面接に行こうとするとくらくらするんだ。」
「あるある、よくあることだよ。自分が全部否定されちゃったように思うんだ。」
「君もそうだったのか」
「そりゃあね」
そのうちに夕飯の時間が来て、何か食べるべく外に出た。
鯨くんの家の近所にはうまいカレー屋があるので、自然とそこに落ち着く事になった。
インドの神様の絵がそこらじゅうに貼られた店内で、雛豆のカレーをはふはふいいながら食べつつ、ふと鯨くんがつぶやいた。
「何かやりたい事はないの」
問われて少しだけ考える。
「別にないなあ。強いて言えば大学に行きたい。行けなかったから。」
「お金があったらそれも一つの進路だったかもね。」
「しかしゲンジツ。ゲンジツテキには働かないといけないのだな。嫌いだな、ぼく。ゲンジツ。」
「おれも嫌いだよ」
諌められると思っていたのに、同調されて驚く。
「珍しい。君がそんなこと言うなんて」
「言いたくなる日もあるよ」
ぼくは何かあったのかと聞きたかったが、普段の気丈な彼を思うと、聞くのが怖くもなってつい流してしまった。


相変わらず就職活動は難航しており、箸にも棒にも引っ掛からず、夜毎枕を濡らしっぱなしの日々を過ごしている。
それでも折れてしまわなかったのは、鯨くんの言う「おれもそうだったよ」の言葉を杖に出来たことが大きい。彼も辛かったのなら、自分が辛いのも当然だと言い聞かせられたのだ。

ある日のこと、ハローワークで求人を見ていると、大学の一般事務の仕事を見つけた。
なんとなく大学に行きたいと呟いたことが思い出され、気が付けば応募しており、恙無く面接当日を迎えた。
大学は山の麓に立っており、広々していて気持ちが良かった。
大きな噴水を通り過ぎ、リノリウムの床に足音を立てて、面接が行われる部屋の前にたどり着く。
不思議と何も、緊張する事はなかった。


果たして結果は、採用であった。
ぼくは嬉しいやら誇らしいやら、とにかく鯨くんに報告したくて、でもLINEで言ってしまうのはもったいなくて、平日の夜だと言うのに約束を取り付けて彼の部屋に押しかけた。
報告を聞いた鯨くんは、たいそう驚き、自分が採用された時より喜んでるんじゃないかと思えるほど、泣いたり笑ったりした。
「ああよかった、おめでとう、うれしいよ、おかしいな、もうこれしか言えない」
言葉の通り同じ言葉を繰り返して鯨くんは顔を赤くしてしばらく床を転げていた。
しかしそのうち、妙に悲しそうな顔をして、おめでたいに日にごめん、でも次会ったら言おうと思ってた。と、か細い声で言った。
「ごめん、あのときおれ嘘ついた。ほら、鍋屋に行った時の。あのとき君がもしゲイで、おれを好きでいてくれたなら」
「…」
「おれもだよって言うつもりだった」
鯨くんは項垂れた。
泣きたいのは彼だろうに、大粒の涙はぼくの目から落ちた。
「ごめん、君が辛いの、全然気づかなかった」
「いいんだよ。気付かないでいてくれてよかった。お陰でこんなに長く一緒に過ごせた」
「…うん」
「でも本当にごめん。まだ全然一緒にいたい。まだすごく好きなんだけど、辛いのが大きくなってきちゃってもう無理っぽい。」
「ごめん…」
「おれこそごめん」
二人ともが床をじっと見ていた。
どのくらいそうしていただろうか。不意に鯨くんが口を開く。
「もうこれで終わりなら、ひとつ願望でも聞いてもらおうかな。」
空元気で陽気に言ったものの、次の言葉が続かないらしい。
「なに?」
答えを促すと鯨くんは申し訳なさそうな笑みを浮かべて、
「キスがしたい」
と呟いた。
ぼくは鯨くんのことが大好きであったので、彼が望む好きではないにせよ大好きだったので、彼を見つめていいよ、と言った。
彼は困ったように笑い、一瞬躊躇ってぼくに顔を近づけた。
そして下唇をはむ、と挟むように口付けると、あっという間に顔を離した。
「ごめん」
「ううん」
どうしていいのか分からなくて、鯨くんの頭をそっと撫でる。
そうしながら、そういや人に好きだと言われたことも、キスしたのも初めてだなと気づいたり、振る立場ってこんなに辛いのか、と考えたりした。
そのうちに落ち着いた鯨くんが、いつもの笑顔を取り戻して、「もうここに来ちゃ駄目だよ」と言った。
ぼくらは友達ではなくなってしまった。


事務の仕事は案外楽で、楽で、と言うよりは気楽で、あまり気負うことなくそこそこにやれている。
蛍光灯の取り替え依頼が来ては蛍光灯を割り、名刺の発注を依頼されては誤発注し、領収書をぶちまけたりしているが、そして怒られているが、それで死ぬ訳じゃなしとのほほんとしていられる。
あの頃の、働くことがとにかく嫌だった気持ちはもういまいち思い出せない。ひとりで社会に飛び込むのが怖かったのだろうか。
鯨くんには本当に感謝をしなければいけないなあ、と不意に考えては悲しくなる。
今彼はどうしているんだろう。

それから半年後。
給料日、仕事を終えて酒屋に寄り帰路に着く。
もうしこたま酔っても、介抱してくれる人はいないが、やはり記憶をなくすまで呑んでしまう。治さなければいけないと思うがなかなか治らない。
シェアハウスは就職した際に退去し、今は新築のワンルームで暮らしている。
アパートに向かう角を曲がると、人陰が見えた。
人影はこちらに気付くとあろうことか猛進してきた。
逃げねば。そう思ったが変質者に会ったことなどなかったぼくは、すくんだ足を引きずろうとして後ろに倒れる事しか出来なかった。
突進してきた人影は、親しい声で叫んだ。
「ごめんごめんごめんごめん!」
顔を上げると顔を赤くしたり青くしたりしている鯨くんがいた。
「何でいるの…」
恐怖の余韻と驚きと混乱で滅茶苦茶になった頭を必死で御して、やっとそれだけ言った。
「どうしても伝えたいことがあって。でもLINE消しちゃってて連絡できなくて。」
慌てているのか、鯨くんも混乱しているのか、早口で捲し立てる。
「あれからずっと、これでよかったんだこれでよかったんだって思ってたんだけど、時間が経つにつれどんどん辛くなってきて、会えて辛いのと、二度と会えなくて辛いのなら会えて辛い方がいいなって、でも自分で遠ざけたくせに、本当勝手だと思うんだけど、もう一回前みたいな関係になれたらって。すごく勝手だし幼稚な事を言ってるのはわかってる。でももし許してくれるならーー」
鯨くんはそこまで言って盛大にむせた。
ぼくは鯨くんの背中をさすりながら、「こんな鯨くん初めて見たな」と思った。
「どうかな」顔を赤くした鯨くんが恐る恐るこちらを伺う。
「そりゃぼくは相変わらず友達がいないし、何より君が大好きだから願ってもないけれど。恩返しもまだしてないし」
「本当に?」
「うん。もしまた辛くなったらそのときは話し合おう。お互い居心地のいい距離を探ればいいと思う。うまく出来ないかもしれないけど、何もしないで悲しいよりは、きっとずっといいよ。」
鯨くんは泣きそうな顔をして一言だけありがとう、と言った。
ぼくは嬉しい気持ちになったので、笑おう、と思ったのだけど、一つの疑問が頭を掠めて真顔になった。
「鯨くん、何でぼくの家知ってるんだ?」
「えっ」
そこを突かれるとは思ってなかったと言わんばかり、鯨くんは盛大に目を逸らす。
ぼくはあり得る可能性をいくつか浮かべ、ぞっとして言った。
「君ちょっと怖いところあるな」
鯨くんは相変わらず目を逸らしたまま、
「すごいごめん」
とうめいた。